ビジネスをすると利益が生まれます。
しかし、ビジネスで利益が生まれるのは「100の価値があるものを95で仕入れ105で売っているから」ではありません。
マルクスはビジネスから利益が生まれるのは、商品を生産する工程で「剰余価値」が生まれるからだとしています。
この「剰余価値」は「付加価値」と似た概念です。
企業の利益がどのように生まれるか、『資本論』の例に従って原料から製品を生産する過程で話します。
①原料10㎏を12,000円で仕入れ②機械設備を使って製品を生産/4000円分使用(これを減価償却分という/例えば機械設備1000万円として1万時間で壊れるとすると1000円/時間ずつ老朽化する)③労働者の日給4000円とすると、合計で20,000円の費用となります。
一方生産した製品の価値はいくらかというと、原料10㎏から製品10㎏を製造するのに4時間働くとします。また、労働者が「加工」することで、1時間あたり1000円分の付加価値を生み出すとします。
そうするとこの製品の価値は「材料(費用)」と労働者が付け加えた価値を足し合わせて、12,000円(原料10㎏)+4,000円(機械設備の減価償却分)+4,000円(労働者が付け加えた価値=1,000円×4時間)=20,000円となります。
通常、値段=価値なので製品は2万円でしか売れないということになります。
これでは利益が「ゼロ」ということです。
でも企業は利益を出しています。その答えは「生産量」と「労働者の使い方」にあります。
ここで、生産量を2倍にして製品をつくることにすると次のようになります。
この時の費用は、①原料20㎏を24,000円で仕入れ(2倍になる)②機械設備を使って製品を生産/8000円分使用(2倍になる)③労働者の日給4000円(変わらない)とすると、合計で36,000円の費用となります。
そしてこの時の製品価値は24,000円(原料20㎏)+8,000円(機械設備の減価償却分)+8,000円(労働者が付け加えた価値=1,000円×4時間×2)=40,000円となります。
よって、40,000円ー36,000円=4,000円の利益が発生することになります。
このように、労働者が給料以上に働くことが企業の利益を生むのです。
そして、企業の利益になる「剰余価値」は「労働者が製品を生産する過程で生み出した付加価値」ということになります。
原料や機械設備などは、いくらいいものを仕入れたり導入したとしても、形が変わって製品の中に移るだけで、その価値の大きさは加工後もまったく変化しません。これを『資本論』では「不変資本」と呼びます。
一方、労働力は日給4,000円で買って8,000円の価値を生み出しています。労働力は不変資本に対して「可変資本」と呼びます。
つまり企業は、労働者を働かせることによって、支払った価値以上を生み出せる、利益を上げることが出来るのです。
このように、どこの会社でも生産効率を上げるように努力しているのです。