マルクスは取引するものすべて「商品」であると説いている。
よって労働力も「商品」だということになる。
商品の値段は商品の「価値」が基準になってきまると説明してきました。
私たちの給料は働くために「必要なコスト」で決まるということです。
この「必要なコスト」(労働力の生産コスト)は食費、住宅費、衣服代、娯楽費、知識習得費などの合計が労働力の価値になり、みなさんの給料をきめているのです。
給料明細を資本論で読み解くと、「手当」が何を意味しているのか理解できると思います。通勤手当は会社へ来るための費用、住宅手当は体力を回復するための居住費、家族手当は扶養家族を養うための費用、子女教育手当は子供の学費、資格手当はその資格を取得した労力(労働力の生産コストの上昇)、役職手当は精神的エネルギーが上昇した分、残業手当はより体力を消耗した分ということで会社が支給しているのです。
医者の給料が高いのは、「医者のほうが一般的な仕事より難しいから」「人が生きていくための重要な仕事をしているから」ではなく、「膨大な知識を身につけなければならず、そのために長期間準備をしてきたから」なのです。
そう考えると、単純作業者の時給が低いのは必然ということになります。
次に労働力の使用価値は「労働力を使ったときのメリット」となります。
要するに会社の利益ということです。
使用価値は、その商品の値段に直接的な影響を及ぼしませんでした。
労働力も同じで2倍の使用価値があっても、値段(給料)は2倍にならず、上がっても1.2倍くらいしかなりません。
「労働力」が「商品」になるためには、使用価値があることが絶対条件で、成果を上げられない労働者は使用価値がないので、企業に雇ってもらえない(商品にならない)のです。
労働の使用価値が上がれば「その商品がほしい」と思う人が増える=企業に選んでもらえ、継続して雇ってもらえるということになります。
以上のように労働者として優秀になり、企業に利益をもたらすことで得られるのは給料が上がることではなく、「雇い続けてもらえること」なのです。
資本主義経済における給料のルールがわかると、他の人の2倍働いても2倍給料がもらえるわけではないので、平均的に働いているほうがストレスもなく健康的でいられるのではと感じます。
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